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平行する世界
1秒後の世界。
1分後の世界。
右手を使った世界。
左手を使った世界。
どちらも使った世界。
どちらも使わなかった世界。
其れ等はパラレルワールドと呼ばれる並行世界。
同じ世界の沢山の並行世界は放置すれば膨大な質量で世界そのものを破裂させてしまう。
そうならない為に世界は補正を行い、時々並行世界から必要な部分だけを切り取り、後は無に消してしまう。
そこで誤って、同じ人間を補正として抜き出して現れるのがドッペルゲンガー。
全く同じ個人や個体は同じ時間、同じ世界に1人しか存在出来ない。
その為、この世界で生き残る為に、正しい世界であるために、もう1人の自分を殺す。
時として、時間軸の殺し屋となったドッペルゲンガーは、あらゆる時間軸の狭間を裂き、寝ているもう1人の自分を殺してなりすます。
そこに居る個人は確かにその人本人だが、全くの別人。殺された本人がこれまで経験してきた事や感情、あらゆる事は生き残った本人に引き継がれるので、その事を証明する事も説明する事も出来ないし、周囲も異変には気付かない。
殺されたもう1人の自分が蘇り、説明しない限り永遠にバレる事の無い完璧な殺人。
文字通りの死人に口無しとはこの事か。
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