7人が本棚に入れています
本棚に追加
そう考えた私はタクシーを拾う為に手を上げる。数分後、運良くタクシーは止まり成瀬先輩を乗せると酔った成瀬先輩に手を引かれて私も車内に乗り込んでしまった。
「すみません、出して下さい」
「ちょっと成瀬先輩」
タクシーは走り出し、成瀬先輩は私の肩を抱き顔を近づけてくる。
「成瀬先輩」
「大丈夫だから、黙って」
何が大丈夫なの。この状態、成瀬先輩は大丈夫だろうけど、私にとっては大丈夫でも何でもない。そもそも何で私なの。私は冴えない地味めがねなのに。
「やめて下さい、最低です。こんな事をするなんて」
「最低じゃないよ。俺、未来ちゃんのこと、入社当時から狙ってたからね」
そんな事を言われても困る。私は英輔くんが好きなの。
「やめて下さい、私は成瀬先輩の事は好きじゃないです。私にだって選ぶ権利があります」
「じゃ、俺を選べば良いじゃん」
選ぶわけない。成瀬先輩は苦手なタイプなのに。
「とにかくやめて下さい」
「未来ちゃんも案外強情だね。もう良いから、黙ろうか」
成瀬先輩はそう言うと嫌がる私の唇に自分の唇を重ねてきた。
ー続くー
最初のコメントを投稿しよう!