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誰もいない静まり返った家の中、テレビを消したら聞こえてくるのはエアコンの暖房の風音だけ。
『早く寝なさいよ』
母ちゃんからのメッセージに今返信したら寝てないことがバレるだろうから無視。
23時23分、そろそろ世間の中学生は布団に入っている時間なはずだし。
看護師の母ちゃんと長距離トラック運転手の父ちゃんが同時にいない夜。
月に数日のこの夜だけは僕が僕の世界を築くことができる。
戸締りよし、雨戸も閉めた。
風呂は早めに入ったし、一人の夕飯で使った食器も洗い終えた。
明日の授業道具の用意を終えたら、いよいよだ。
パソコンの周りにポテトチップスとコーラ。
それからポテチで油まみれになる指先を拭くウェットティッシュを置いて電源を入れた。
キーボードを油で汚したら母ちゃんに怒られる。
リビングに備え付けてある大きなデスクトップパソコンは家族の共有だから履歴の消し忘れには注意だ。
インターネットを立ち上げてブックマークには入れていない、そらで覚えているいつものURLを手打ちする。
今日は誰がいるだろうか。
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