30人が本棚に入れています
本棚に追加
常にチャット相手は大人たち、口の利き方やルールなんかはもう覚えている。
可愛げのない子供だと思われても、いつものメンバーにさえ嫌われなければ全然平気。
きっと、まこちんはふらっと現れただけの人だろうし。
まこちん:職業、平凡すぎて言えない。つうか転職しようかどうか迷ってるとこなんだよねえ
真琴:今の仕事に何か不満でもあるんですか
まこちん:別に不満とかはないの。ただやりたかった職業思い出しちゃってさ。募集の掲示板なんか見るんじゃなかったよなあ
真琴:ああ、夢を追いかけるってやつですね
まこちん:そうそう! そんで、彼女に転職するかもって話をしたら振られちゃったんだよねえ
真琴:そういう女性は、まこちんさんのお金や将来の安定だけを見ていたので逆に振られて良かったのかもしれませんよ。本当にまこちんさんのことを思ってくれる人ならば夢を応援してくれたはずですし
まこちん:おおお、真琴! するどいわ、年収とかそういうのすっごい聞かれてたもん! だよな、振られて良かったかも。真琴マジで中学生?
ポテチを頬張ってすぐに指を拭いた。
暖房で乾燥した喉にコーラが沁みる。
真琴:だから中学生ですってば。で、まこちんさんは転職できそうなんですか?
まこちん:わっかんない、倍率えげつないし
真琴:でも可能性はゼロではないんですよね?
まこちん:まあね、ゼロではないよ、たとえそれが1パーセント未満かもしれないけれども
真琴:ゼロじゃないなら挑戦してみたらいいんじゃないですか? 本当にやりたかったんでしょう? 失敗したらまたその時考えれば
まこちんさんは、そのまま1分くらいレスが帰ってこなかった。
寝た? 寝落ちした? たまにそういう人いるけれど。
まこちん:真琴、ありがとうな
あ、いた!
真琴:なにがです?
まこちん:やるわ、俺。応募してみるわ、真琴に背中押された気がする
真琴:いえ、僕は別に
ヤバイ、僕のせいで一人の大人の人生を狂わせた?
いやいやいや、多分冗談、うん、明日目が覚めたらきっと深夜の自分のテンションに後悔するはずだ。
最初のコメントを投稿しよう!