生まれて初めて便Pになった中年

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おい!もう終わりか!くそっ!録画しておくんだった。でも、少しだけでもアイツの姿を目に焼き付けおけて良かった。無事に育って欲しいという思いとは裏腹に、二度とあの卵を目にする事は無いだろうと私は思っていた。普通に考えてあんなもの処分されるに決まっている。  数日後。 「今日のニュースです。先日お伝えした下水処理場の卵。覚えている方はいらっしゃるでしょうか。実はあの卵、成長を続けております。現場の蝶野さん?」 アナウンサーがショッキングピンクのワンピースを着ている。こういう服は一体どこから見繕って来るのだろう。それより順調に育っているのか。下水処理場で処理されてしまっているとばかり思っていたが、って……え? 「はい、現場の蝶野です。皆さん、お分かり頂けるでしょうか。先日お伝えした卵は人工池の中で浮いていたのですが、現在では建物の天井につくまで巨大化しております」 なんと!想像より遥かに大きくなっているではないか!凄い!感慨深いなんてしみったれた感情を通り越して、私は今、驚愕している。 「うわー、凄いですね。実は今日スタジオには未来実践創造学院大学・卵学部教授の外殻(がいかく)鶴太郎さんにお越し頂いております。よろしくお願い致します」 「はい、よろしくお願いします」 「早速質問なのですが、こういった卵は地球上に存在するのでしょうか」 存在しているだろ、アホか。
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