生まれて初めて便Pになった中年

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ようやく世間が私の卵の素晴らしさに気がついたか。自慢でもあり少し悲しくもある。なぜなら私だけの卵だったのに、今は様々な人間の好奇の目に晒されているからだ。それでも私はこの卵の行く末を見届けたい。例え今日が休日の昼間だとしても。 「はい!こちら現場の蝶野です!今私はヘリに乗って上空から卵を見下ろしております!既に建物の屋根を突き破っており、大きさは十メートルを優に超えています!」 「蝶野さん、ありがとうございます。では本日も未来実践創造学院大学・卵学部教授、外殻鶴太郎さんにお越し頂いております。よろしくお願い致します」 「はい、お願いします」 この教授も今や時の人だ。様々な番組に引っ張りだこで、彼の顔を見ない日は無い。未来実践創造学院大学・卵学部は最近の検索急上昇ワードだ。 「このスタジオに初めてお邪魔させて頂いてからもう二週間くらい経ちますが、大分大きくなりましたね。いやあ、やっぱり何回見ても奇妙ですね、こんなに大きな卵は」 その時は突然やって来た。 「スタジオの羽出野(はでの)福美アナ!卵が!卵が!」 「蝶野さん?どうかしましたか?」 テレビの画面がヘリからの映像に切り替わる。そこにはギザギザした波模様のひびが、卵にくっきりと刻まれていた。 「ああっ!ついに!ついにか!」
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