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私はあの子の所を目指し、全力で駆けていた。私達は立派な親子だ。言葉を介さずとも分かる。ただ心の感じるまま走ればあの子に会えるのだ。ああ、見えて来た、美しい。ようやく会えたな。トイレに流してすまなかった。さあ、こっちへおいで。私は人々が逃げ惑う中、両手を広げ、我が子に自身の存在を示した。私はここだ。
「ええっと、それはどのような習性なのでしょうか?」
「食うんですよ、親を。と言ってもハサミムシのオスはほとんど育児をしないので、食われるのは卵を産んだメスです」
「じゃあ今この巨大な虫が走って行った理由は……」
「探してるんじゃないですかね、産みの親を。勿論この巨大なハサミムシ的な何かは、ハサミムシではないので、一概には言えませんが。ほら止まりましたよ。あ〜中年の男性が居ますね、手を広げています。彼も分かって居るんじゃないでしょうか。あ、映しちゃまずいかもしれませんね。食われますよ、これ。あーやっぱり食われちゃった」
「ここで速報です。世界各国の下水処理場で似たような卵が次々と発見されています!教授、これはかなりまずいのではないでしょうか?」
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