生まれて初めて便Pになった中年

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 何日か経つと宿便生活にも慣れ始めていたが、やはりどうにもおかしい。普通の便秘とは違う、気がする。腹に違和感はあるものの、膨満感は無いし、下腹がぽっこり出て来る訳でもない。ただ、左足の付け根に添う様にふくらみが出来ていた。恐らくここで便が止まっている。そう思った。何の気なしにそのふくらみを指でなぞる。 ぐにゃり。 少し動いた。心が反応する前に体が反応し、のけぞる。そのあと変な汗が出て来るのと脈拍が上昇するのが分かった。こいつ生きているのか?それとも腸が動いただけか?その答えはすぐに出た。ふくらみが徐々に下に移動し始めた。そう、菊門に向かって。しかも捻れながらぐりぐり進んでいくので痛くて痛くてたまらない。便が生きているのか? 「ううっ!……ぐあっ」 今までに感じた事の無い激痛で「痛い」と素直に反応出来ない。頭がついて来ない。何だこれは何だこれは。呼吸が浅くなる。しかしリビングで脱糞すれば三行半。腸と便が擦れ合う形容し難い腹痛と戦いながら、わずかに残った理性が私をトイレへと向かわせた。その間もぐにぐにと便は腸内を進行している。 「うっ、うおお……」
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