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私は卵の事を考えながらスクランブルエッグを食べていた。テレビでは謎の水玉模様の服を着た女子アナがニュースの原稿を読んでいた。毎日違う衣装でテレビに出るのも苦労が多いに違いない。
「さて、本日のニュースです。Q県ハラワタ市にある下水処理場で、謎の卵が発見されました。現場の蝶野長子さん?」
私はテレビに釘付けになった。……た、卵だと?しかもQ県ハラワタ市は私達夫婦が住んでいる所だ。
「はい、こちら蝶野です。今私は下水処理場の沈砂池に居ます。こちらは下水処理場で働いていらっしゃる水野清美さんです。よろしくお願いします」
「お願いします」
「早速質問なのですが、沈砂池とは具体的に何をする場所なのでしょうか?」
「そうですね、まず最初に下水に含まれる大きなゴミ、砂粒などを沈めて取り除く所です」
「つまり浄水処理する最初の場所、と言う事でよろしいでしょうか?」
「はい、その通りです」
そんな汚い所に私の卵が?いや、まだ私の卵と決まった訳ではない。早く映せ、テレビ!こんな所で時間を使うんじゃない!
「では早速その卵を拝見してもよろしいでしょうか」
「はい」
いや、そう言うのは良いから。もう許可は取ってあるんだろ。本当に薄ら寒い演技だ。カメラがほの暗い建物内を進んでいく。きっと臭いもかなりキツいのだろう。
「あっありましたありました!見えますか?」
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