第一幕

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 全寮制で、友人もできるだろうと、母が、私に勧めた。  そうしたら、病気も治るのではないか、と。  そんなこと、どうでもいいのに。  横では、私の気も知らない母がはしゃいでいる。  やれ名門だの、やれ私立だのと言って、素晴らしいと校舎や花壇のデザインを褒めた。  五月蝿い。あぁ、この人は、恥というものを知らないのだろうか。  …私と違って、病気じゃないくせに。  周りがそんな母を見て笑いだすと、ようやく母は校舎を褒め称えるのをやめた。  私が、足を早めたら、母は焦って私についてきた。 「ごめんね、お母さん浮かれちゃったね。でもお母さんも嬉しいのよ。」  すかさず後ろから、謝罪の言葉を投げかける。  私は、嬉しくない。  何も感じない。  だから、早くこんなところ卒業して、さっさと人生終わりたい。  謝り続ける母を無視して、体育館へと足を進めた。
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