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全寮制で、友人もできるだろうと、母が、私に勧めた。
そうしたら、病気も治るのではないか、と。
そんなこと、どうでもいいのに。
横では、私の気も知らない母がはしゃいでいる。
やれ名門だの、やれ私立だのと言って、素晴らしいと校舎や花壇のデザインを褒めた。
五月蝿い。あぁ、この人は、恥というものを知らないのだろうか。
…私と違って、病気じゃないくせに。
周りがそんな母を見て笑いだすと、ようやく母は校舎を褒め称えるのをやめた。
私が、足を早めたら、母は焦って私についてきた。
「ごめんね、お母さん浮かれちゃったね。でもお母さんも嬉しいのよ。」
すかさず後ろから、謝罪の言葉を投げかける。
私は、嬉しくない。
何も感じない。
だから、早くこんなところ卒業して、さっさと人生終わりたい。
謝り続ける母を無視して、体育館へと足を進めた。
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