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「私、1年B組の小高真希。あなたは?」
と、唐突な自己紹介をしてきた。その上に、私の自己紹介も促してくる。
この手の人は、一人ぼっちで可哀想な私を、かまってあげたいだけの猫被りなやつだから、無視しておけばプライドが傷ついて去って行く。
小高と名のった生徒の手をほどき、再び前を向く。
無視だ、無視。そうしていれば、話しかけられない。笑いかけられない。
しかし小高は、私の考えに反して、一向に前を向く気配がなかった。
気になって、小高の方をもう一度見る。
さっきと変わらぬ笑顔で、私に、話してくれる気になった?と、喋りかけた。
意味がわからない。何故、まだ笑っている。私は、話しかけないでほしいのに。
ねぇ、気分悪いの?と、小高はもう一度私の肩を持った。
保健室、連れて行こうか?
ますます不気味だ。何故、ここまで無視をしているのに、話しかける。
これ以上、無視していればこいつは教師を呼ぶ。そして、私を保健室へと連れて行くだろう。
恐らく、3年ぶりであろう会話をしようと、声を絞り出した。
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