第一幕

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「私、1年B組の小高真希。あなたは?」  と、唐突な自己紹介をしてきた。その上に、私の自己紹介も促してくる。  この手の人は、一人ぼっちで可哀想な私を、かまってあげたいだけの猫被りなやつだから、無視しておけばプライドが傷ついて去って行く。  小高と名のった生徒の手をほどき、再び前を向く。  無視だ、無視。そうしていれば、話しかけられない。笑いかけられない。  しかし小高は、私の考えに反して、一向に前を向く気配がなかった。  気になって、小高の方をもう一度見る。  さっきと変わらぬ笑顔で、私に、話してくれる気になった?と、喋りかけた。  意味がわからない。何故、まだ笑っている。私は、話しかけないでほしいのに。  ねぇ、気分悪いの?と、小高はもう一度私の肩を持った。  保健室、連れて行こうか?  ますます不気味だ。何故、ここまで無視をしているのに、話しかける。  これ以上、無視していればこいつは教師を呼ぶ。そして、私を保健室へと連れて行くだろう。  恐らく、3年ぶりであろう会話をしようと、声を絞り出した。
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