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母は、私を見て涙ぐんでいる。その後ろで、影のように存在の薄い父が、手を振っていた。
心配をかけないため、一応振り返しておく。
やっと、寮に行けるのか。
そう思ったが、無駄に渡り廊下や校舎、校庭が広いため、なかなか辿り着かない。
それでも、生徒たちは無言で教師についていった。
背景が森のようになってきた頃に、ようやく教師の足が止まる。
ここが、1年生の寮です。と、後ろの建物を指差した。
うん。悪くはない。新しくも古くもない洋館で、好きな人は好きだろう。
先程渡された資料に、部屋番号が書かれているらしい。
私は、503号室のようだ。
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