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 生まれてから十年間、楽しいと感じたことがなかった。  “楽しい”がなければ、“悲しい”も、“嬉しい”も、“悔しい”だって感じなくなる。  そんな私を周りの大人たちは、『冷たい子』と言って、自らの子を決して近づけなかった。  それもどうでも良かった。  ただ、人と話さないと、自分の思考をうまく表にだせなくなっていった。  …最後に会話をしたのは、いつだったっけ。  それにさえ、何も感じなかった。感じれなかった。  あまつさえ、話しかけられなくて、楽だ、とも思った。  冷たい壁で自分を囲んでいく。話しかけないで、と。  そうすると、見事にみんな離れていった。  初めこそ話しかけてきたやつも、無視をしていると、気分悪そうに離れていった。  話しかけないで。笑いかけないで。どう返せばいいのか、わからなくなる。  ―――こうして、今の私が出来上がった。  冷たく、周りの暖かい温度を受け付けない壁を築いた、今の私が。
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