偽作の館

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 気が付くと僕の意識は大広間の最奥の隅で、壁にもたれかかって寝ていたことをとらえた。照明は幾らか落とされ、人はまばらであり、パーティーは僕の知覚しないうちに終わったようだった。覚醒と共に、僕は強い頭痛を感じた。が、歯車は見えなかった。僕には、英雄的損傷すらないらしい。    館を出ると、辺りは当然ながら暗かった。のみならず今日は新月らしい。こういったときは返って静謐が絶叫しているような気がしてしまう。寄る辺なくして、僕はマルボロに火をつけた。
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