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「あ…っは、や、いや、あぁあぁぁ!」
「どっ、どうした?!何が…?!」
母の悲鳴を聞いた父が駆けつける。風呂の惨状を目にした父は、瞬時に状況を理解した。
瑞香が自殺を図ったのか?とにかく、早く救急車を…
「や、あ、う、嘘、瑞香ぁっ!死なないでっ、瑞香っ!」
「母さん、落ち着け!先に救急車だ!」
ポケットから携帯を取り出した。手が震えて上手くボタンが押せない。もう、手遅れであることは分かっていたのだろうが、それでも諦めるわけにはいかなかった。
「もしもし、救急です!娘が風呂場で倒れてるんです!」
『落ち着いてください。状況は説明できますか?』
落ち着いた救急隊員の声。それにより、少しずつ落ち着きを取り戻していく。
「…喉から大量に血が出ており、多分…舌を、噛み切っています。風呂の水が赤くなるぐらい、血が…」
そこまでしゃべったところで、血の匂いにむせた。当然、こんなに大量の血を見るのは初めてで、慣れてなんかいない。
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