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「…じゃあ、瑞香はその呪いのせいで死んだって言うんですか?」
あまりにも現実離れした浅間の言葉に、奈々子は思わず疑いの声をかける。
「信じてもらえないと思いますけど…実際にそうなんです。」
浅間は苦しそうに呻いた。認めたくないけど認めるしかない、そういった感じだ。
「信じるもなにも…なにか証拠はあるんですか?」
只ふざけているようにしか思えない。
「浅間さんは悲しくないんですか?からかってるんですか。瑞香が死んでから、そんなにたってないのに…」
眉間にシワを寄せ、席を立つ。「待って!」浅間の声が響いた。
「これ…僕の連絡先です。持っててください…」
信じる気になれたら、是非連絡を。そう付け足し、浅間は小さな紙を私に握らせた。
「…では」
もし、浅間の言ったことが本当だったとしても、今日は聞く気にはなれなかった。
まあ、笑えない冗談を言う人だったが、悪い人ではなさそうだ。
また今度電話しよう。ーーーまた、今度。
私は丸まった小さな紙を鞄の奥底に突っ込み、店を後にした。
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