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隔たった地で、ロシア帝国軍がオーストリアハンガリー帝国と、国家の命運をかけて戦っているとは思えないほどの、穏やかな夏休みだった。
「おーい、ミーシャ!」
どこからか声が聞こえる。
ミハイルは、親しい間でしか使わない愛称で呼ばれて、思わず立ち止まった。
大学の友人のアナトリーの声だ。
つつがなく学年末試験も終わり、大学も夏休みに入ったため、すっかり気が緩んでいた。姿を求めて辺りを見回していると、目の前には騒がしいエンジン音の車が、近づいてくる。
まさしく、その車が横付けされた。
「おう、夏休みだけど調子はどう?」
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