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その一瞬、窓から届く夏の名残りを含んだ陽光が、額の上をさっとかすめた。
ミハイルは視線を動かすことなく、左踵を引き付けて合わせると、ブーツの拍車の金属音が鳴る。
緊張のあまり、敬礼の手が震えていた。
「この度、着任しました。少尉のミハイル・アレキサンドロヴィッチ・デミトフと申します」
部屋は静まり返ったままだ。
「初めまして、ミハイル・アレキサンドロヴイッチ・デミトフ少尉。第二近衛騎兵師団、第二近衛騎兵旅団、皇帝陛下近衛軽騎兵連隊へようこそ。着任を歓迎いたします」
壇上から、晴れやかな笑顔で、その若い女性は話しかけてくる。
「デミトフ少尉。形式的なものに過ぎませんので、そんな固くならないでください」
真っすぐ被った軍帽からは、緩やかに波打つ明るいブルネットの髪が見える。それは襟足で切り揃えられていた。
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