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「街? ま、参りましょうとは?」
突然の提案に、所属先の連隊長のシューキン大佐が、顔面蒼白で仰天していた。
「皆さまには、大変、感謝しております。ですが、私のような立場の者は、ときには街の様子も見なくてはなりません」
「見なくては?」
一同揃って、混乱した眼差しを投げる。
「そ、それは……さすがに、最近、て、帝室の人間を狙うものも数知れず」
「私は皇女ですので、皇位継承権はありません。万が一、死んでしまっても問題はないでしょう」
「万が一?」
シューキン大佐の顔が、一段と蒼ざめる。
「何か起ころうと、どなたにも責任は問わないよう父にはお願いしてきました。陛下は娘の私には甘くていらっしゃるの。まあ、こういうことを許可するのもいいとは思えませんけれど」
「ほ、本当に街へ出られるのですか」
「何を驚いていらっしゃるの。私も一応連隊長ですよ」
面白そうに微笑んでいる。いたずらっぽい眼差し。
皆の反応を楽しんでいるようだ。オリガ大公女殿下は皇族なので、いわゆる名誉連隊長の職にあった。
「髪は切りましたから、じっくり見ない限り女だとは気が付かないでしょう」
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