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どもりつつ、ぎこちなく質問に答える。
「東洋の品物を扱っていらっしゃる店があるのね。いい絹があったら、ドレスにしてみたいわ。抜け道をつぶさに知っておられるのなら、助かります」
中庭に出ると、既に装備のすんだ馬が、整然と並んでいる。
その中から一頭の見事な黒のアラブ馬が、皇女の前に引き出されていた。
いつも馬を連れ出している従卒が、訳も分からず、ぽかんとして、オリガ皇女を眺めている。
「お借りしますね。シューキン大佐」
慌てて大佐が駆け寄るが、皇女殿下は鐙を踏んで、たてがみに捕まると、ひらりと、優雅に鞍へ乗り上がった。
まだ、周りは呆気に取られたままだ。
「で、殿下、ほ、本当に行かれるのででしょうか」
「ええ、本当ですよ。お気遣いをありがとうございます」
朗らかに微笑んで、手綱を取った。
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