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やがて隊列が小道から出て広い通りを進んでいると、ふと視線を感じ、警戒したミハイルたちは視線の源を見つけようと見回した。
――馬車。
幌のない馬車に、どこかの商家の夫人と思しき中年の女性と十歳くらいの少女が乗っている。
大方、母親と娘といったところだろうか。
母親は前方を見ており、その顔は大きな帽子でよく見えなかったが、娘の方はこちらへ向き、身を乗り出して好奇心にあふれる黒い瞳で、こちらへ眼差しを注いでいた。繊細なアジア系の風貌だ。
頭には夏の名残りを留める麦わら帽子。癖のある黒髪を左右のおさげに三つ編みにし、青色のワンピースの上に白いエプロンとケープを身に付けている。
女学校の生徒だ。
輪を描く後れ毛が、初秋の風にそよいでいた。
「あら、女学校のお嬢さん」
ミハイルの隣でオリガ皇女が囁いた。
「初等部の子かしら。もう学校が始まるのね」
だが少女は依然として、じっとこちらに視線を注いだまま離さない。そして、
「その真ん中の人、女の人でしょ!」
目を瞠って、そう断言したのだった。
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