必要殺人事件

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「断る。俺は小説家で殺し屋じゃない。こんなありふれたことに、いちいちかまっちゃいられない」  七竈納は食い下がる。 「この子が信じられるのは先生だけなんだよ」  チョコレートをかみ砕く。 「彼女が勝手に信じただけだろ。何か出向くに値するメリットでも用意してくれるってのかい?」  七竈納はしばし沈黙し。考え。 「人の首が刎ね飛ばされる瞬間、見せてあげる」  チョコレートを一気にかみ砕く。パーカーを手に取る。 「ネタになりそうだ。行こう」  PTAの激怒に敗北。連載打ち切り。ふてくされてしかるべきだ。  せっかくふてくされているのに、七竈ちゃんは俺を慰めない。「次は何を読もうかなぁ」とか、ウキウキ本棚を物色している。  もうこんな話やめたいところだが、説明不足が多すぎる。不親切だ。よろしくない。説明しよう。ああいやだ。  要するに、あれは暗号でもなんでもなかった。  ミステリの基本。登場人物の発言に虚偽がある。。  現実。学校からの説明なんて虚偽に決まっている。  断言しなくていいヤツは運がいい。失せろ。俺はふてくされてるんだ。
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