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親愛なる読者諸氏に問う。今、ピンチか?
ピンチなら共感しよう。俺も今大ピンチだ。
なんでかって?
そうだな……。まず、自分が小説家であると想像してくれ。
次に、珍しく小中学生向けのライトなミステリを書いたと想像してくれ。
3番目に、子どもの教育によくないとPTAからの批判が殺到したと想像してくれ。
4番目に、「読者からの挑戦状コーナー」に暗号が届いて、からくも打ち切りを脱したと想像してくれ。
最後に、「お前は殺人事件を書くな」「両親は犯人枠から外せ」の、編集部命令さえ知ってくれれば完璧だ。
まったくご理解その通り。
犯人からの逃走劇を書くしかない。
当然。犯人から隠れる体験をしておこうと考える。
おあつらえ向き。治安がよろしくないところに住んでいる。
合わさっての当然。クローゼットに潜み、鍵を開けっぱなしにする。
これまた当然、泥棒が入ってくる。
置きっぱなしの生活費を持って逃げる。息を潜めて逃げるのを待つ。
ここまでは普通だろ?
少なくとも俺は普通だったはずだ。
普通じゃない泥棒が来やがったんだ。
信じられるか? 本棚をひっくり返して行きやがった。
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