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「あの、これは、違って、英語の課題がわからないから教えてほしいって言われて、それで」
「何言ってるのか全然わからないんだけど」
孝史郎の必死な言い訳を聞きたくなくて、言葉の途中で割り込んだ。
「なんで、あなたが、私に、そんなこと説明しなきゃいけないの?」
「それは、ぼくが言いたいから」
「本当に馬鹿ね」
懸命に悪意をこめて言ったつもりが、涙で震えていた。こんな自分が嫌いだ。どうせなら、徹底的に悪女になってしまいたい。こんなところで泣くから、優しいこの人が気にしてしまうのだ。
「あんたが誰と付き合おうが、私には関係ない。優奈は、本当にあんたのことが好きなのよ。私と違って、ちゃんと好きなら好きって言えて、好きな人には優しくできる、そういう子なの。大事にしなさいよ……今のあんたにはそれが、できるでしょ」
なつめはもう、孝史郎の顔を見ることもできなかった。
「邪魔したことは謝るわ。だから、来ないで」
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