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◇
すっかり盛り上がり、気づけば1時間半ほど過ぎた頃、誠のこれまでのキャリアが話題にあがっていた。
「半年前にちょうど海外駐在から帰ってきたんです。僕は涼平くんと健斗くんの6個上の先輩にあたるので、皆さんからしたら結構年上ですよね……なんだか恥ずかしいな」
誠は歳よりだいぶ若く見えたが、落ち着いた大人の雰囲気で話す彼を見て、女性陣は「確かに」と納得した。
誠はこの場で自分一人が年上であることを気にしているようだが、むしろ春香も里奈も年上の穏やかな包容力を想像し、一層好感度をあげたようだった。
一方、レイラだけは、その話が聞こえた瞬間、(おや?)と考えた。
(ふーん、海外駐在帰りか、年齢は30代前半かな? 商社マンって結婚してから海外駐在行く人が多いのに、独身のまま駐在に行ったのか、珍しいな……こんないくらでもモテそうなハイスペックなイケメンが? 本当に独身かなあ?)
レイラがついそんな分析をしてしまうのにも、理由があった。最近の出会いの場では本当に多いのだ、隠れ既婚者が。
現に「データマッチ」でも、マッチングした相手が実は既婚者であったといった被害報告がよく寄せられる。特にマッチングアプリ等はお互いの素性を知らない分、身分を偽りやすいのだろう。
真剣な出会いを探す女性にとって、既婚者との恋なんて不毛な恋。
そんな不毛な恋を排除すべく、「データマッチ」では、ついにAIによる“既婚者判定機能”の開発にも着手し始めたくらいだ。
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