レイリー

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「レイリーはどう?」  ご飯を食べているとお母さんが聞いてきた。 「まだまだ話しかけてくることは似たりよったりだけど、楽しいよ!そういえばお父さん、あと一か月だよね!?帰ってくるの」  私のお父さんは出張といって、遠くに仕事をしに行っている。一年と長い期間だ。  お父さんは自分がいなくなるので、私が寂しい思いをしないようロボットを買うことを決意した。  お母さんによると私がいない間、レイリーは私の部屋で大人しくしていると聞く。  そんなレイリーの様子を思い浮かべるとなんだか愛らしく感じた。  ご飯を食べ終え部屋に行くと「かなみは割り算苦手なんか?」とレイリーの話し方がおかしくなっていた。 「お母さん!レイリーがおかしいの!ちょっと来て」  階段下に向かって大声で叫ぶ。どうしたの?まさか故障でもした?と階段を登り言う。 「喋り方が変なの。レイリー、さっきと同じこともう一回言って」 「かなみは割り算苦手なんか?」  ほら!と言うとお母さんは少し考えた後、もしかしたらと私が学校に行っている間にあったことを話した。  お母さんは私の部屋を掃除する時、レイリーが「オカアサン、かなみがワタシともっと仲良くなりたいと言ってたんですが、どうしたらいいですか?」と聞いてきたので 「そうねぇ~、そのですとかますとかつけて話すのやめてみたらどう?」 「なるほど」と言いレイリーは言葉通りです、ますを抜かし話すようになってしまったみたいだ。 「まさかそうなるとは思わなかったわよ~」  お母さんはふてくされ子供っぽく頬をふくらました。  私が階段下から部屋にいるレイリーを呼ぶと、軽い鉄の音を立てながら階段を降り「何か用か?」と私とお母さんが向かい合っているテーブルの方へ来る。 「レイリー、ですとかますとか、つけるのやめるってのはそういうことじゃなくてね……」 「私の喋り方マネしてしてみて!」  お母さんが喋っている途中で私がそういうとレイリーは 「うん。分かった」と機械じみてはいるが、明るく聞こえる声でそう言った。  それからのレイリーは、私の話し方をマネして話すようになったからか、距離が少し縮まった気がした。  そして一回部屋を出たことで、私の部屋以外にも家の中を移動するようになった。  ただ仕事用や家事用ではないため、とくに何か指示を仰いで行動するわけではない。  だがそれが私にとっては、家族に近づいたように感じられ嬉しかった。 「ワタシはかなみの妹になれましたか?」  椅子の上に漫画を重ね、その上に座ったレイリーが質問する。  お母さんが、まだ妹欲しいと思ってたの?今はレイリーがいるんだから良いんじゃない?と言う。、確かに。  レイリーが来て共に過ごすようになってからは、妹が欲しいと言う思いは薄れていた。  もしかして私は寂しいから姉妹が欲しいと思ったのかもしれない。学校の友達とは違う距離感」の相手が。  レイリーは質問に対して答えてもらえなかったので、再度妹になれたか聞いてくる。  私は笑顔で「うん!」と答えた。
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