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「あれ? 韓忠さん?」
「じじじ状況はどうなってる!? ほほほ包囲軍を率いているのは!? かかか数は!?」
「それで出てきただか? 大丈夫だよ。こっちは十万越え。向こうはこっちの半数以下。籠ってれば向こうは退かざるを得ないだよー」
韓忠は眩暈がした。
野戦での駆け引きが巧みなので忘れがちになるが、趙弘はもともとただの農民なのだ。
戦での駆け引きを理解しきることは難しいのかもしれない。
その状態になれば周りの雰囲気を察し、マズいことはわかるのかもしれないが、そうなった時には手遅れなのだ。
「ああああのなあ。おおお俺たちが、えええ宛城を、どどどどうやって、ててて手に入れたか、わわわ忘れたのか? いいい戦に不慣れな、じじじ十五万。ほほほ包囲されて、いいい一週間も、ももももてば、いいいい方だぞ」
南陽郡は戦の起こらない土地だ。
そのため、大軍に包囲された宛城はあっさりと降伏したのだ。抗戦を主張したのは太守の褚貢とその旗本だけだった。それ以外は呆れるほどあっさりと降伏した。
それを趙弘は思い出した。
「………もしかして、マズイだか?」
「いいいいや、いいい今は、ここここちらの数が、おおお多いことに安心して、ききき気が大きくなってる。ししし士気が高いうちに、ううう動く必要が、あああある」
士気が高いうちに。
そう。
人数が多いということは、その分物資の消費も早いのだ。
特に兵糧の有無は士気に大きく影響する。
幸いなことに付近の城から物資は集めてあった。
心を挫かれた張曼成が復帰した時、すぐに行動に移れるようにと韓忠が用意していたものだ。
皮肉なことに、それが生きている。
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