開幕前

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 戦場において敗北を知らぬ、面倒くさがりな討伐軍の指揮官がいた。  友人に差を付けられてしまった、生真面目な討伐軍の指揮官がいた。  敵将を取り逃がしてしまった、気難しい討伐軍の指揮官がいた。  まだまだ目立った戦果を挙げるに至っていない、討伐軍の将軍がいた。  病に倒れた総帥から後を託された、反乱軍の指揮官がいた。  名もなき義勇軍によって壊滅の憂き目にあい、体勢を立て直そうとしている反乱軍の参謀がいた。  片腕を失いながら、微塵も戦意をなくさない反乱軍の将がいた。  共に在りたい人のため、死地に赴くことを決めた反乱軍の将がいた。  正気を取り戻すことにした矢先、旗頭を失い、途方に暮れながらも必死に戦った反乱軍の将がいた。  圧倒的な劣勢の中、それでも最後まで逃げ続けた反乱軍の将がいた。  愛する人のそばで。ただそれだけを希う反乱軍の将がいた。  間に合わなかった、者たちがいた。  間に合った、者たちがいた。  ついに。ついについについに最終局面。  ひとつの時代の終焉と。  ひとつの時代の幕開けの。  始まりの、物語。  終わりの、物語。  戦乱絵巻となるか。  人間絵巻となるか。  戦史ととるか。  人間史ととるか。  すべてすべては観劇くださる皆々様のご判断にて。  新説三国志演義。  黄巾の乱編最終巻。  いざいざいざ!  開演にぃ、ござい!  上映中、観劇くださる皆さまは、遠慮会釈なく、作者への喝采を、ぜひぜひ、お送りくださいませ。  それでは――――――。  お楽しみを。
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