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「最近どうよ? 先輩たちの愛玩動物やってる? それとももう、芸能人の一人くらいは食っちゃった?」
「んなわけあるかよ。そんな甘い世界じゃねーよ」
「アンタなら裏方でもそれが可能だと思ってるんだけど? 小悪魔の名が泣くわよ?」
「小悪魔、ねぇ」
頭によぎった「先輩」の顔に眉をしかめる。能美センパイはみんなに可愛がられてはいるけれど、小悪魔って感じではない。
ガラリ、と後ろの横開きの木戸が開き、誰かが出て行った。もう酔客が帰り始める時間か。
「小悪魔より強い悪魔って、なんだろうな」
「は?」
「悪魔とか大悪魔? そんなんでもねーな」
「何言ってんのよ。何か悩んでるなら、聞いてあげなくもないわよ?」
「お前に泣きつくようになったら、俺もおしまいだわ」
「可愛くないわね」
「特別扱いしてやってんだろ、喜べよ」
真由子は苦笑してグラスを置いた。
今夜はお開きだ。
センパイに関しては、特に悩んでるってわけじゃない。理不尽だって、たまに思うだけ。
ーーー第2章 了
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