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「それにしても、みっちーが善之助なぁ」
「……すみませんね」
「いや、ギャップあっていいと思うけど?」
どんなフォローも効果なしだ。善之助なんて名前は、どこからどう見ても俺の見た目にそぐわない。
「でしょ~? ツーブロ茶髪のイマドキ男子なのに、善之助! まじ可愛くないですか? 俺全力で推してるんですけど、なかなか浸透しないんすよね~」
「ほんとやめてください」
「なんで? 可愛いのに」
ため息をつくと、ロンダーさんたちがおかしそうに肩をふるわせた。俺たちのこんなやり取りは、彼らにとってはちょっとしたコントに見えるらしい。
「ま、みっちーも能美も可愛いってことでいいじゃん」
「神田組は安泰だなぁ」
「あざーす!」
なんでこの人は、こんなにニコニコしているんだろう。ロンダーさんの手前、愛想笑いでその場を切り抜けたものの、楽屋のドアを閉めるなり俺は無表情になった。
「一緒に帰ろうぜ、善之助!」
「……センパイ、もはや嫌がらせでしょ?」
「んなことないって~」
「俺、あんま好きじゃないんすよね、その名前」
「えーなんでよぉ? お前みたいな可愛い顔でそれってインパクト強いし、まじうらやましいんだけど!」
「……せめてフルはやめてくれません?」
「ふぅん……じゃあ、ぜんちゃん?」
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