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そんなある日、体育の時間でバスケの試合の最中に
「ムカつくんだよ!」
と叫ばれた後、私の指にわざとボールを叩き付けられて突き指させられてしまう。
保健委員に付き添われ保健室へと到着すると、偶然、怪我で処置を受けていたアイツと遭遇してしまう。
二人で処置を受けて教室へと戻っていると
「それ…大丈夫か?」
とぽつりと聞かれて
「うん。春原も、足…大丈夫?」
そう呟いた。
するとアイツは笑顔を浮かべて
「俺のは擦り傷だからな」
って言うと
「ごめんな」
と、ポツリと呟いた。
驚いて見上げると
「お前の噂、色々聞いてる」
そう呟いた。
「噂?」
と呟いた私に、アイツは小さく微笑んで頭を優しくポンっとした。
指の痛みとアイツの優しさで、涙が溢れそうになってしまい俯くと
「俺さ、他校に彼女が居るんだ」
ぽつりと言われた言葉に、目の前が真っ暗になる。
「中学から付き合ってて…、俺のせいでいじめられてた事があって。同じ学校だったら守ってやれるんだけど…。学校変わって、守ってやれないから隠してたんだ。そしたら、まさか奥寺が標的になるとは…」
そう言うと
「これ以上、お前に迷惑掛けるの悪いから、ちゃんと話すよ。ごめんな」
って言われてしまった。
それから間も無くして、アイツの彼女の話題でもちきりになった。
都内の女子校に通う子で、近隣の学校でも可愛いと噂の女の子だと聞いた。
こんな形で、私の片思いは幕を閉じた。
そして月日が流れ、3年生になると何故か再びアイツと同じクラスになる。
アイツの胸ポケットにささっているのは、私のシャーペン。
そして腐れ縁再びで、また、隣の席の生活が始まった。
失恋しても、アイツへの気持ちは止まらなかった。
卒業間近。
私は最後にアイツの思いを断ち切る為にバレンタインに便乗する事にしてみた。
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