38人が本棚に入れています
本棚に追加
2月14日
アイツは手渡されるチョコレートを全部断っていた。
私も振られる覚悟を決めて、放課後、アイツを屋上に呼び出した。
「どうした?」
って呟くアイツに、私は受け取ってもらえないチョコレートを差し出した。
「ごめん。言わないつもりだったし、春原に彼女が居るのも分かってる。でも、諦めきれなくて…気持ちだけ伝えたかったの」
そう言った瞬間だった。
私の身体を抱き締めて
「諦めないでくれて、良かった…」
って呟いた。
「え?」
「俺もずっと、奥寺が好きだった」
そう言われて
「え?だって、彼女…」
と言い掛けた言葉を、アイツの唇が塞ぐ。
後から聞いた話では、私には他に好きな人が居るのだと聞かされていたらしい。
彼女と言われていた人も、実はアイツの幼馴染みで、私の事を諦められないアイツに協力したんだとか。
「未沙」
大学生になった私の隣には、彼氏になったアイツが並んでいる。
バレンタインが起こした奇跡を、私は忘れない。
あの日、勇気を出して良かったと…。〜完〜
最初のコメントを投稿しよう!