もう逢わない、もう逢えない。

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「は、え、ええっ?!!」 「大人しくしなさい」 「ちょ、怖い怖い!俺ベランダから捨てられる?!キス強請ったのが嫌だった?!」 「黙らないと捨てる」 「ヒィ」  大股で歩き、私は少々乱暴に寝室の扉を開くと、快眠の為に奮発して購入したウォーターベッドに夜々塚さんを落とす。そして私もその横に寝っ転がり、布団をかぶった。  夜々塚さんは私の行動に困惑している。 「え、ちょ……正さん。なにこれ」 「うるさい」 「寝るなら俺、帰るよ?邪魔になるなら……」 「私、明日は大切な会議なんです」 「……うん、知ってる」 「睡眠の質は仕事に直結します。そして今日は冷える」 「…………」 「温めてください。明日の朝まで」  ごろりと寝返りをして、夜々塚さんの身体を引き寄せる。この人は男性なのに華奢だ。ちゃんと食べているのか不安になるが、体温は子供のように温かい。  帰らないで欲しいなんて、自分の気持ちがはっきりと確信できていない時点で言葉にできない。だから、こうするしかなかった。我ながら子供染みている。  暗い室内で、夜々塚さんの表情は見えない。しかし、ふふっと嬉しさを隠しきれない声がその場に小さく響く。
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