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後ろから華奢な身体にぎゅっと抱き着かれる。そして、後ろから伸びた手は、再び私のズボンの中にもぞもぞと入っていった。正直言うとさっきの出来事のせいで、未だに下半身の熱は治っていなかった。
「ほら、まだバキバキじゃん」
「離しなさい」
「……じゃあ、挿れなくていいからさ」
太郎は私の向かい側にまわり、まっすぐこちらを見上げてきた。そして背伸びをし、私の耳元で吐息混じりの甘い声で囁く。
「シックスナインで我慢するから」
アホなのか。
しかし、その提案を断りきれず、挿入なしの行為に及んでしまう38歳の私も、きっと阿呆なのだろう。理性の糸が今にも切れそうな私に、雑にベッドに押し倒され、太郎は真っ赤な舌で舌舐めずりをした。
唾液で濡れた唇、赤く火照った肌、微かに潤んだ綺麗な瞳。その色気にあてられ、くらりとする。これではどちらが主導権を握っているのか分からない。
「あーぁ、早く俺の奥、ぐちゃぐちゃに犯してほしいなぁ」
「下品なことを言わない」
「っあ……」
──私は決して、同性愛者ではない。
この、性欲の権化のような男を拾ってしまったのは、今から一ヶ月ほど前の事件がキッカケだった。
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