つまらない男

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「正さんと一緒に居ても、私はつまらないんです」 「…………」 「食事もデートも、何もかも決めるの私で……あなたが何を好きなのか、趣味は何なのか、私は知らないんです」 「……はぁ」 「だから、今日限りで終わりにしましょう。ここのお会計はしておきますので」 彼女はテーブルの上の伝票を手に取ると、会計をしてそそくさと店内から出て行った。 カウンターからこちらの様子を伺っていた店主も、少し気まずそうだ。 「……食事を終えてから行けば良いものを」 口のつけられていないカルボナーラを見て、小さな溜息を吐く。 これで何度目だ。見合い相手につまらない男とレッテルを貼られ、一方的に振られるのは。
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