【 最終話: SDBだぞ♪ 】

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【 最終話: SDBだぞ♪ 】

 私たちがクリスマスケーキを食べ終わる頃には、外が明るくなってきていた。  私は思わず駆け寄り、カーテンを開けて外を見る。 「うわぁ~、綺麗な朝日~」  振り返り、笑顔でお兄ちゃんにおねだり。 「ねぇ、お兄ちゃん。このお外のジャグジーに一緒に入ろう……」 「えっ!? ふたりで!?」 「うん、ふたりで……」 「そ、それはマズイんじゃないかな……。兄妹だし……」  その回答は想定済み。  だから、準備してきたんだ。  『』を……。 「ふたりのを持って来たから、一緒に入ろ♪」 「つぅ~……」  私はあの例のBカップからCカップへバストアップする秘密兵器、『苺ちゃんビキニ』を装着し、ジャグジーのスイッチをONする! 『ブワァーーッ……』 「うわぁ~、泡泡出たよ~。お兄ちゃん♪」 「うぉ~、結構すごい泡だなぁ~。色も変わるのか~」  円形のジャグジーだが、お兄ちゃんとの距離は1m程。  もっと近づきたい。  少しずつお兄ちゃんににじり寄る……。 「わ、若菜……、近いぞ……。ソーシャル・ディスタンスを保とうな……」 「SDBだよ♪」 「何だ? SDBって……?」  私はあるところへビデオ通話する。 『トゥルルルルル……』 「あっ、パパ?」 「おう、若菜か。どうかしたか?」 「見て見て♪ 今ね、お兄ちゃんと一緒にジャグジーに入ってるの♪」 「(おい、若菜。親父に見られたら、マズイって……)」 「おお~、そうか。楽しそうだなぁ~、パパも一緒に若菜と入りたいよ」 「今度、帰ってきたら、一緒に入ろうね♪ それでね、お願いがあるんだけど、もう一日このスイートルーム予約しておいてもらってもいい?」 「ああ、まだマイルあるからいいぞ。ふたりで存分に楽しみなさい。龍之介(りゅうのすけ)、若菜を頼んだぞ」 「何が頼んだぞだよ……。親父知ってんのかよ、俺たちのこと……」 「パパ、ありがとう♪ 大好きだよ♪」  パパ公認だということを知らなかったお兄ちゃんは、頭を抱えている……。  私はオンライン通話を切ると、お兄ちゃんに跨り、再び10cmの距離へ。 「うわっ! 若菜、近いって! ソーシャル・ディスタンス……」 「だからSDBだったらぁ~!」 「何だ? さっきから、その『』ってのは……?」  私はこのお台場のホテルから、大きな声でこう叫んだ。 「お兄ちゃんとの恋は、コロナなんかに負けるもんか!」 「Sソーシャル・DディスタンスをBぶっ壊せぇーーーーっ!!」 (SDBって、そういう意味なのね……) END
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