39人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
【 最終話: SDBだぞ♪ 】
私たちがクリスマスケーキを食べ終わる頃には、外が明るくなってきていた。
私は思わず駆け寄り、カーテンを開けて外を見る。
「うわぁ~、綺麗な朝日~」
振り返り、笑顔でお兄ちゃんにおねだり。
「ねぇ、お兄ちゃん。このお外のジャグジーに一緒に入ろう……」
「えっ!? ふたりで!?」
「うん、ふたりで……」
「そ、それはマズイんじゃないかな……。兄妹だし……」
その回答は想定済み。
だから、準備してきたんだ。
『アレ』を……。
「ふたりの水着を持って来たから、一緒に入ろ♪」
「つぅ~……」
私はあの例のBカップからCカップへバストアップする秘密兵器、『苺ちゃんビキニ』を装着し、ジャグジーのスイッチをONする!
『ブワァーーッ……』
「うわぁ~、泡泡出たよ~。お兄ちゃん♪」
「うぉ~、結構すごい泡だなぁ~。色も変わるのか~」
円形のジャグジーだが、お兄ちゃんとの距離は1m程。
もっと近づきたい。
少しずつお兄ちゃんににじり寄る……。
「わ、若菜……、近いぞ……。ソーシャル・ディスタンスを保とうな……」
「SDBだよ♪」
「何だ? SDBって……?」
私はあるところへビデオ通話する。
『トゥルルルルル……』
「あっ、パパ?」
「おう、若菜か。どうかしたか?」
「見て見て♪ 今ね、お兄ちゃんと一緒にジャグジーに入ってるの♪」
「(おい、若菜。親父に見られたら、マズイって……)」
「おお~、そうか。楽しそうだなぁ~、パパも一緒に若菜と入りたいよ」
「今度、帰ってきたら、一緒に入ろうね♪ それでね、お願いがあるんだけど、もう一日このスイートルーム予約しておいてもらってもいい?」
「ああ、まだマイルあるからいいぞ。ふたりで存分に楽しみなさい。龍之介、若菜を頼んだぞ」
「何が頼んだぞだよ……。親父知ってんのかよ、俺たちのこと……」
「パパ、ありがとう♪ 大好きだよ♪」
パパ公認だということを知らなかったお兄ちゃんは、頭を抱えている……。
私はオンライン通話を切ると、お兄ちゃんに跨り、再び10cmの距離へ。
「うわっ! 若菜、近いって! ソーシャル・ディスタンス……」
「だからSDBだったらぁ~!」
「何だ? さっきから、その『SDB』ってのは……?」
私はこのお台場のホテルから、大きな声でこう叫んだ。
「お兄ちゃんとの恋は、コロナなんかに負けるもんか!」
「Sソーシャル・DディスタンスをBぶっ壊せぇーーーーっ!!」
(SDBって、そういう意味なのね……)
END
最初のコメントを投稿しよう!