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第一話 ふざけんな!
顔合わせから二日がたった。
あの後、親父が
「これから灯里さんと未来ちゃんと一緒に暮らすぞ」
と言われた。
いや、唐突すぎんだろ。
出会った初日に
新しい家族です。
一緒に暮らします。
なんておかしいだろ・・・
俺はそんなことを考えながら母の写真を見る。
「なぁ・・・母さん・・・親父再婚するってよ・・・」
写真に写る笑顔の母にそう呟き、俺はベットに向かう。
まぁ新しい家族が出来ようが俺には関係ない。
別に仲良くする必要だってないんだ。
俺はこれまでと同じく
もう親しい人間なんて作らなくていい。
そうだ・・・それでいい・・・
もう二度とあんな思いしたくねぇ・・・。
『トントン』
「未来君・・・いる?」
俺が眠りにつこうとしたとき、ノックの音と共に新しい姉さん・・・
未来さんの声が聞こえた。
「なに?」
俺は不機嫌な感じで返事をする。
「その・・・入っていい?」
未来さんはか細い声で俺に問いかけてきた。
マジかよ・・・
俺は頭の中でそう言いながら、ドアノブに手を伸ばす。
「どうぞ・・・」
そして『ガチャッ』とドアを開け、ドアのそばに立っていた未来さんを
部屋に入れることにした。
「失礼します・・・」
未来さんはペコっと頭を下げ、部屋に入る。
未来さんはそわそわしながら俺の部屋を見ていた。
「んで?何の用?」
俺はベットに腰を落とすと、そわそわしている未来さんに問いかける。
未来さんはハッとし、俺の方を見て口を開く。
「その・・・私たちその・・・姉弟になったことだし・・」
「お互いの事、知ったほうがいいのかなって・・・思って・・・」
「・・・迷惑だったかな?」
未来さんは恐る恐るといった感じ俺の問いかけに答えた。
「・・・とりあえず座りなよ」
俺は立ち尽くしている未来さんに椅子を指をさし、座らせる。
「ありがとう・・・」
未来さんはゆっくりと椅子に腰を落とす。
「別に姉弟っつったって、仲良くすることねぇだろ」
俺は座ったばかりの未来さんにそう言い放つ。
「え?」
未来さんは吃驚した表情で俺を見つめる。
「だからさ・・・別に俺はアンタが姉弟だろうが関係ないし」
「俺は誰とも仲良くする気はないからさ」
「だから俺には構わないでくれ」
呆気に取られている未来さんに畳みかけるようにそう言って
俺は未来さんから目を反らす。
俺の得意技だ。
ワザと嫌われようとすること。
だいたいの人はこれで俺をほっとく。
そう、俺のことはほっといてほしい
俺はずっと一人でいいんだ。
そうずっと・・・。
「・・・・ざけんな・・・」
ボソッと未来さんがつぶやいた。
「え?」
俺が聞き返すと、未来さんは涙目でこちらを見ると
「ふっざけんな!!せっかく私が気を使って話しかけてやったのに!!」
「何よその態度!!!!ふざけてんの!?」
「なにがほっといてよ!!なに?一匹狼な俺カッコいい的な!?」
「ざけんじゃないわよっ!!!ちっともカッコよくないわよ!!」
とてもさっきまでソワソワして内気な女性のようだった様子はなく。
そこに居たのは
かなり強気な
とても豪胆な女性だった。
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