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さて、日にちは経過してカレンダーは2月になった。
雪が降ってもおかしくない程の極寒のもと、道端に突っ立った私は凍えながら毒づいた。
「…ないんだけど」
グー●ル先生は時々嘘をつく。全然目的地に辿り着かないんだけど。
前なんて、最寄り駅からのルート表示を辿りに歩いていったら、何故か最終的に田んぼのど真ん中に立ち尽くしていた。あの時の近くの小屋で精米していたおっちゃんの何してんだ? という顔は忘れられない。
今朝のことだ。スマホのアラームが本日のスケジュールを高らかに知らせてきた。うるっさ、とのろのろ布団から這い出て画面を覗き込み飛び込んできた面接の二文字に飛び起き飛び出した、
は、いいものの、面接場所でもある本日の志望先の会社に辿り着けない。グーグ●先生に案内してもらっても、同じところを延々とぐるぐると歩き続けるだけで、結局最寄り駅に戻ってきてしまった。迷いの森か?
「どうすっかな…」
腰に手を当て天を仰ぐ。それなりに焦っていたけれど、ここまで見事に行き着けないとなると、一周まわって落ち着いてきた。
そもそも、今日訪問する会社がどんな所なのかすら曖昧なのだ。
大手求人サイトに始まり、大学に来ている求人にハローワークに新聞に載っているものまで、ありとあらゆるツールを使っていたために、もはや何処紹介の求人なのかもさっぱりだ。
だがもう形振り構ってはいられない。
会社の詳細がわからない以上志望動機はその場で考えるしかないが、悲しきかな場数だけは踏んでいるのでこなせる自信があった。
「その前に辿り着けないと意味ないんだよなぁ…」
「もし」
うわ。デジャブ。
前のこともありビクッと大仰に肩を跳ねさせて声の掛けられた方を向く。
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