恩羅院のひみつ

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 屈強な修験者をどうにか振り切ろうと、建物の中を右往左往しながら逃げ惑ううち、淼は一つの結論に思い至る。 「あっ!よく考えたら追われてるのは淼だけなんじゃ?白子ちゃん、別行動で逃げる方が…」  正論だが、白子は面白くない様子。 外道だからだ。 「何よ、私が女の魅力であんたに劣るっていうの?」 「ここでそんな面倒くさ…てか白子ちゃんも可愛いけど、さっきも言ったように淼だって人気あるんだよ?昨日もスーツの紳士から『ごご5千円あげるから顔に唾をかけてくれえ』って言われたんだから」 「…だからあんたそれ喜んでんじゃ…まさかやったんじゃないでしょうね?」 「ううん、ジンギスカンキャラメルなめてたからダメって断った」 「何もなめてなかったらプレイに応じたんかい!あ、この場合『プレー』じゃなく『プレイ』だからね、ここ重要」  会話がだんだんズレるのが淼だが、白子はそのへんも面白がっている。 「でもね、『じゃあそのクソ不味いと有名なキャラメルを1万円で売ってくれえ』って真顔で言われちゃってね」 「キモイわ!って、まさか売ったの?このナチュラルボーン・オヤジキラー…」 「ううん、紳士が言い終わる前に、うっかり飲み込んじゃったもん。てかやだな、淼、人殺しなんてしないよぉ、あははー」  中学生にも見える天真爛漫な美少女っぷりに、ちょうどいい天然度。こりゃ確かに淼は、一部の紳士にはけしからん要素満載なのだろうなと白子は思った。
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