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「だとしてもだ!私の魅力が淼に劣るというのは納得できん。そんなに女がいいなら、これでどうだー!」
白子は、羽織っていたオープンショルダーをふわりと脱ぎ捨てる。インナーはアニマル柄のキャミソール。丈が短く、おへそまで丸出しだ。
着痩せするタイプのようで、白子は意外にスタイルが良い。あくまで2人の狭〜い比較の範囲であるが、夏毛のキタキツネのように華奢な淼に比べれば、確かに白子の方が幾分かは女らしい。いずれにせよそこまでドヤれる程ではないが。
「どうだー坊主ども!私も今日はトラ柄だったのよ!さあ恩那様の魅力に刮目なさい。ふふん!」
無駄な対抗心に燃える白子。だがそれでもなお僧たちの視線は淼に釘付けであり、白子には見向きもしない。そればかりか、
「ヨ、ヨゴレ…」
「外道…」
「ガサツ…」
「腐…」
ほんの短時間にも関わらず、白子の外道ファクターは看破されていた。
「どうして誰も私を見てくれないの、こんな世界なら消えちゃえ…ああしまった!これはトラじゃなくレオポン柄だ!これでは恩那様になれないのも道理ッ!」
「気持ちよくやさぐれてるとこ悪いけど、レオポンってライオンとヒョウのハイブリッドだっけ。すごいねこの服、どこのザ・ビッグで買ったの?」
「なんでビッグ前提なのよ!しかも正確に『ザ』を付けるのは『ザ・ビッグ・ソング』くらいだー!」
「淼、あの歌大好き!こないだ出た24ビットデジタルリマスター10枚組SACDボックスも買ったよ〜」
「うっさい!このガリペタ品字様!※」
「えぇ酷いなあ、そう言うけどね、こないだジャージ紳士から『君には旧スクの方が似合いそうだね』って言われたんだよ?えへ」
「それ褒め言葉じゃなくプレイなんだっての!あと紳士はジャージで外出しない、絶対にだ!」
※品字様…「品」「轟」のように同じ漢字3つで構成される漢字
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