恩羅院のひみつ

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「おお、申し遅れましたな。(それがし)、恩羅院の責任者にして『大浴棒(だいよくぼう)』を務めます、生一本(きいっぽん)と申しますじゃ」  修験道山本山派の修験者の(くらい)において、「大浴棒(だいよくぼう)」は最高指導者を意味する。字面を見て、欲望が大きい助平…などと思う輩の方が下衆であることは、言うまでもない。 「生一本大浴棒…なんだか生臭(なまぐさ)っぽいねえ、白子ちゃん」 「ま、まあ山伏はストイックな宗教者のはずだし、おかしな真似は…」  生一本大浴棒が、周囲の弟子たちを紹介する。 「今日はこの者どもが、あなたたちを案内するでの。さあ自己紹介なさい」  屈強な修験者たちが口を開く。 「ハッ!拙僧(せっそう)、『門是二(もんぜつ)』と申します。本日はよろしくお願いいたします」 「(せつ)は『天画(てんが)』でござる」 「おいどんは『電摩(でんま)』でごわす」  白子と淼は、顔を見合わせながら頭を抱える。 「これはダメかもわからんね…想定外の生臭坊主ッ。ま見学だし、バインバインで超セクシーな私は要注意でも、ガリペタチビッコの淼は心配いらないよ」 「てか酷いよ白子ちゃん。淼はね、一部の紳士に人気あるんだよ?需要は紳士の数だけあるんだって。大人はいいこと言うよね」 「あんたそれ喜んでんじゃないでしょうね…」
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