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微妙に用心する2人に、門是二が何かを手渡した。
「こちらをお納めください。見学記念品です。恩羅院ロゴとシリアルナンバー入りの、800万ボルトのスタンガンですよ。これで女性も安心です」
物騒な武器を手渡され戸惑う淼。白子は逆に大喜びだ。
「あの、これがあれば修行なんていらないのでは…」
「うっはー、これ欲しかったのよね!来てよかったわ、どんなに下方面で嫌な予感がしようとも!」
裏山が修験場だ。ゴツゴツの岩場で所々に池があり、少し遠くには大きな滝も見える、呪○郷のような風情。門是二たちは滝行や石抱き、三角木馬に鼻フック、脂風呂など、一通りの荒行を実演して見せる。
あまりの迫力と激しさに圧倒される白子と淼。白子は、恐る恐る生一本に尋ねる。
「すごいですね大浴棒、そもそもこの修行は、何のためなんですか?」
「これはじゃな、『恩那院』への道を開くための苦行なのじゃよ」
「恩那院…?」
淼が無邪気な笑顔で尋ねると、生一本は優しく説明する。
「恩那院はじゃな、『恩那様』が集う極楽なのじゃ。そこは昼夜を問わず、恩那様たちが入浴して語らうという夢のような場所でな。修行を通じて高みに昇り詰めた者が恩那院の扉を開けば、現生で極楽浄土を体現できるという伝承があるのじゃ」
白子と淼は再度顔を見合わせる。
「えと…恩那様というのは一体…」
「ああ、恩那様はじゃな、真っ白で柔らかな肌に、美しい笑顔、さえずるような声という、我々漢には到底持ち得ない魅力を持つ…」
淼は白子に耳打ちする。
(ね、それって女の人でしょ、恩那院ってひょっとしてただの温泉の女湯なんじゃない?)
(やばいなんてもんじゃないわね。私たち、見学者どころか生贄なのでは…)
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