恩羅院のひみつ

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 2人は茶室のような場所に案内される。 「では『地獄的禅(じごくてきぜん)』を体験してもらおうかの。座禅を組み、頭の上に湯呑み茶碗を乗せて、10分倒さず耐えるという精神鍛錬じゃ」 「『的』ってなあに?」 「モロだと危ないからでしょ、さっきから、も少し空気読みなさいよあんた。てか地味だけどキツそうね」 「なあに、安心なされ。今日は体験だから1分コースじゃ」 「ふん、私は10分でも自信ありますけどね。淼の根性なし!」  白子が変なテンションになってきた。危険な兆候である。 「難しそうだよう…」 「湯呑みを頭に乗せるだけでしょ。私、運痴だけど体幹は優れてるの」  そんな奴いるものか。ともあれ2人は畳の上に座禅を組む。ノリノリの白子に嫌々の淼、対比が痛々しい。 「ああ、言い忘れたが」 「はい、なんでしょう大浴棒」 「湯呑みには、塩酸をなみなみと注ぐのがスタンダードモードでな」  これには白子も慌てる。 「ちょバ、何言ってんですか!それは流石に嫌ですよ、私の美しい顔がどうなっても⁉︎」 「バって白子ちゃん、いや確かにそんなん大バカだー!嫌ー!」  淼は逃げようとするが、巨漢の修験者・電摩に肩を押さえられて動けない。生一本はその様子に笑いながら、 「ムハハ、安心なされ。今日は体験用のイージーモードだから、ローションで代用じゃ」  2人は一瞬安心するが、 「ふええ、白子ちゃん…淼、ローションまみれも十二分に嫌だよぅ」 「いや待って、淼が粘液で濡れそぼる姿か。ふーん…」  白子は数秒の後、 「よし、いいでしょう」 「ちょっと!淼はいいなんて言ってな…ああ、そんな…嫌ぁ…」
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