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「ねえねえ白子ちゃん！これ見てよ、凄いよ、思いのほか黒いよ！」
小柄で元気な女子高生・轟蟲 淼が、友達の案内 白子にキャンキャンとラッシュをかける。白子は黒髪メガネの地味子だが、腐ならではの一癖ある佇まいが、人を寄せ付けない面倒くささを醸し出している。
2人の地元は亜一県尾張市。戦国時代、いやそれ以前の古より、連綿と続く重厚な歴史が根付くまちだ。
それだけに様々な文化や宗教が交わる場所でもある。例えば、乱世には武力として暗躍したとも伝えられる修験道。日本古来の山岳信仰に仏教がミックスされた、厳しい修行をもって悟りを開くという独特な教えだ。
ここには、由緒正しい修験道の寺院が未だ存在しているのだ。
「あら淼、珊璞みたいな髪型。お団子可愛いね。でもとびっきり怪しいブツを…何よその黒いの」
「白子ちゃん、どうせこんなの好きなんちゃうんかと思って。ほれほれ。ほーれほれ」
2人は亜一県立尾張西高校の同級生。転校生への学校案内のみに特化した学校生活をおくる白子が、転校してきた淼に、頼まれもしないのに過剰に学校案内したところから付き合いが始まった。
白子は転校生が学校に馴染んだ頃、つまり「転校生」でなくなった時点で一切の興味を失うという腐れ外道であるが、淼とは異例にウマが合うようで、今や親友同士だ。
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