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『ねえ、皐月。あなたは私の自慢の娘よ。優しくて他人を気遣って、聞き役に回ってしまう…そんなあなたにはもうすぐ素敵なパートナーが現れるわ』
「え? なに…いきなり何の話なの?」
『あなたを愛してくれる人が現れるわって話』
「…お母さん…私、お母さんがいてくれたらいいの。他の人には甘えられないよぅ」
『大丈夫。お母さんはあなたの傍にいるわ。その人とあなたが出会うまで』
「嫌だよ。ずっと一緒にいてよ…っ」
『皐月、あなたもいつか母親になる。そのときにようやくわかるわ』
「何? 何がわかるの?」
『私は、あなたを愛してるってことが』
画面の向こうで優しく微笑む母の映像にまたノイズが走った。
「おかあさ…っ。顔が見えなくなってる」
『これだけは忘れないで、皐月。あなたを愛してるわ。ずっとずっと…。しあわ…せに…なりなさ…』
「なにっ? 聞こえない! お母さん!?」
徐々に雑音混じりになっていく音声は、音量を下げながら…消えた。
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