【1・あと一時間】お客様ってば神様だ(萌えの)

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【1・あと一時間】お客様ってば神様だ(萌えの)

「彼氏さん、お洋服はどんなお色味が好みとかあります?」 「学校での服装は黒が多かったんですけど、これからお仕事のときはスーツだし……」 「スーツはどんな感じのをお持ちだかわかります?」 「濃いめの紺色、みたいなのは見たことあります」 「じゃあこちらのスーツとか割と雰囲気似てません?」 「あっ、確かにこれに近いです」 「ではこれに合わせて、ネクタイいくつか合わせてみましょうか。シャツは白が多そうですか?」 「はい。わー、よかった。男の人へのプレゼントって全然わからなくて。お母さんに聞くのも恥ずかしいし」 「ふふ、こういうご相談を受けるためにも私たちは店頭にいるので、いくらでも相談してくださいね」 ☆ 「初恋とかやばいわ萌えるわ。『新社会人になる彼氏への初めてのバレンタインプレゼント選び』とかたまらんわ」  ラッピングに少しお時間いただきますので、その間他のお店などご覧になります? じゃあメッセージカード買ってきます。承知しました、行ってらっしゃいませ。  そんなやり取りでお客様を送り出した後、私は店内でネクタイのラッピングに勤しんで……は実はいない。  今目の前で丁寧にそれをしているのは、スタッフリーダーの神崎太郎だ。ちなみに昨年までは大学の元同級生でもあった。
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