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夜中になると、一人で古い家の中をウロついては眠る母にも慣れ始める私は
この先に不安を持っていた。
いつもの様に家に戻ると、暗い台所でみそ汁を煮ている母の姿を発見する。
どうしたのかと聞くと、一人でポロポロと泣いているのだ。さとすように気持ちを聞くと、母は語り出した。
亡き父の非道と我が妻の陰険なる姑いじめ。
気を取り戻しながら、二人で食べ始める夕食にできたてのみそ汁が並ぶ。
独り言のようにボソボソと語る……母の顔が卑屈に歪んで行く。
やがて、食事を終えた時には、知らなかった父への恨みと亡き妻に対する
怒りの念が爆発して、なぜか……飲まなかったみそ汁を指す……狂った顔の母が笑い語る。
「これなんだよ、あんた。この味噌汁にはね、トリカブトのコナがたーんといれてあんのさ。へへへへ……もうダメだよ。あんたも……」
母の笑い声が……響き出す。
「オラと息子の幸せな生活を守るためだ。死んで保険金をみついでおくれよ。へへへへ……!」
私の身体はしびれ出し、オノを振り上げる母の姿が見えた。
2p(完結)
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