『お出迎え』のしつけ方を教えて下さい

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『お出迎え』のしつけ方を教えて下さい

優しい恋人を注文したはずだった。 「俺もう寝るから」 真冬。突然の雨にびしょ濡れで帰ってきた私を眺めてたった一言。そのまま寝床にしているソファに横になると、すぐに聞こえ始めた規則正しい寝息。 …冷たい。 タオル持ってきてくれるとか、温かい飲み物用意してくれるとか、心配してくれるとか、ちょっとでいいから優しい行動出来ないのか、この汎用人工知能(AI)。 首もとにある小さな識別コードと『充電』が必要な事以外は、見た目も中身も人間そのもの。 食事、入浴、呼吸、排泄。恋人同士の甘い行為も出来る、睡眠もとるし毛髪だって伸びる。皮膚の柔らかさも体温も同じ。 そんな『ほぼ人間』を『恋人』とし、生活も共にするのがすっかり馴染んだ世の中の流れに、自分も乗った。 起動した瞬間から続く冷たい態度に、モバイルで注文履歴の詳細を確認する。 『■どんな関係で起動しますか? 恋人 ■恋人が出来たらしたい事は? 手を繋いでデートする たまにでいいから外でも抱き締められたい 暇さえあればくっついていたい ■容姿か性格、どちらの希望を叶えますか? 性格 ■希望する性格 優しい人』 一緒に生活する事になるから、大事なのは容姿よりも性格。そして優しさだろうと思って数あるカテゴリーから選んだのに、彼の態度の一体どこが?もしかして不具合なの? 注文内容はもちろん全て知っているはずだ。だからすぐ、素敵な恋人同士になれると思ってたのに。 「…お風呂入ろ」 上着の内側に抱えていた袋があまり濡れていない事にほっとした、共同生活2日目の夜だった。
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