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____「そういえばこの間、初めてピンでラジオに出演できました!」
『聞いたよー! 花与ちゃん、めちゃくちゃ噛んでたでしょ』
「助さんそれは忘れて下さいよ」
『こむばむわって言ってましたな!』
「角さん!」
【こむばむわwww】
【神信者助さん角さんキタ】
ファンとの交流アプリは、音声でのやりとりだけでなく、従来通りコメントだけ残すことも可能だ。
直接話したいコアなファンも、傍観したい者も、どちらも楽しめる仕組みになっている。
花与のようなまだ売り出し中のアイドルは、ファンとの距離も近く、応援しやすい対象だ。
その身近さを武器にして、次のステップへ進もうと遠石は企てた。
【暴言アイドル消えろ】
【今更清純ぶるな】
もちろんアンチからの攻撃もないわけではない。
心ない誹謗中傷に胸を痛めながらも、彼女は振り切った。
見てくれる人だけ見てくれればいい。まずはその人達の為に死ぬ気で活動をしよう。
そんなふうに腹を括ったのだった。
「おい、終わったなら社長室に来い。大事な話がある」
事務所の簡易的な休憩スペースにて。今日の配信を終えてスマートフォンをローテーブルに置いた花与は、そう遠石に告げられ目を丸くさせた。
「大事な……話?」
まさかここへ来て突然の解雇なんてことはないだろうな、と、一瞬固まる花与だった。
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