第五章 憧れる強さ、本当の強さ

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「なんだその顔は。お前が奢ると言ったんだろうが」 「あ、はい、そうです」 びっくりするほど肩透かしを食らい、私は間の抜けた顔で返してしまった。 だけど、ちゃんと先生がお礼を受けてくれるのはいらんと突っ返されるより嬉しい。何となく子供では無いのだから礼は受け取ろうと言ってくれたように思えたから。 「良かった!また断られたのかと。どこがいいですか?!予約しますので!」 先生が今度は面食らったような顔をしていて、少し口元が緩んだのを見逃さなかった。良かった、機嫌が戻ってきてる。 「気分転換、まだしたいんじゃないのか?」 店の名前とかでは無い質問に、今度は私が戸惑う。 これ、イエスというかどうかで勉強への姿勢を試されていたりしないだろうか。
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